励まし励まされという話

先日の男性専用のサロンでのこと。ターミナル駅から3分ほどなのに微妙に裏手にある建物にある。髭の脱毛が目的である。顧客は体毛に潔癖な人もいれば、私のような人もいるという感じだろう。「光脱毛」では強い光線を集中して浴びせて毛根を殺す。医療脱毛よりは安価だが効果は弱い。実施回数が必要で先日は8回目。処理後、施術師さんに話しかけられた。
「どうですか、効果は実感されていますか」
「感じてます」
と私はいった。本音である。その施術師さんとはカウンセリングからの知り合いで、担当回数が最も多い。初回の施術の時、脱毛の目的をそれとなく聞かれたので「トランスジェンダーになります」と、この世で一番最初に打ち明けた人でもある。
「今日は丁寧にやってくれてありがとう」
照射回数がいつもに増して多かった。施術師さんの話は台湾に飛んだ。
「実はずっと台湾語を習っているんです」
自習もしているし、オンラインで台湾の人とも会話するという。できればいつか台湾で独立したいという。私は素晴らしい、ぜひやんなさい、サロンでもいいし何でもいいじゃないと答えた。だが彼はやや弱気である。
「私は郷さんのように目的をもってやったことがなくて。それにいい歳だし」
かれは30歳くらいだろう。
何言っているの、私はいくつでこんなことしていると思っているの!いつからでも今からやればいいじゃない!
彼を励ましてから、顎をなでながらサロンを後にした。かくいう私もオチることはある。離れていく知人もいるし、近所の目を怖がる自分もいる。ますます孤独になる道を歩いていると思う。馬鹿な自分を自嘲することもある。そんなとき、励ましてくれた方の手紙を読み返す。

あのカミングアウト後の女子トークでのりり〜さんのキラキラ感とイキイキした表情は「そっちでまちがってないよ」というサインだと思います。変わっていくことに対する周りの反応とか、偏見には絶対に負けないでくださいね!!! 一度きりの自分の人生なので!!

“手神”に元気づけられて鏡を見る。髭は落ちてきた。顔筋トレも効果が出てきた(と思う)。過去数ヶ月で鏡を見る回数は、それまでの人生で見てきた合計回数を超えただろう。資生堂の広告フレーズではないけれど「一瞬でも美しく」生きたい。

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