ヒトリからヒトへ

日本ハムファンになるきっかけは、「J」こと野村佑希選手が顔面に死球を受けたニュースからだ。今年の5月中旬である。BigBossまたの名を新庄剛志監督は鼻骨骨折に関わらず、翌日のゲームについて「本人次第、出たいって言うんじゃない?」と言った。

なんでそんな根性論?と思う一方、日本ハムの弱さはなんとなくわかっていたし、清宮幸太郎選手への「痩せろ指令」といい、やっぱりエンターテイメント系かと思っていたが、意外な根性論に心を惹かれた。それでパリーグTVを観てみた。ネット中継にはチャットがあり、なぜか皆、野村選手のことをJと呼ぶ。調べると野村さんはアメリカ生まれの帰国子女、本名は野村ジェームズ佑希、3年目で中軸である。

たしかに若手ばっかりのチームである。

万波中正選手はハーフで3年目、お尻ぷりぷりの今川優馬選手は2年目、神川畑(本名は上川畑大悟)選手は新人なのに滅法打撃がいいし守備は群を抜いている。ドラフト9位の小兵はすぐにプロにアジャストしていった。もうひとり新人の北山亘基投手はドラフト8位で、物知りゆえに教授と呼ばれる。今年から加入したポンセ投手は笑顔の美しい色男、感情的なところも好き。前半大活躍の伊藤大海投手は2年目でエース格。最初に入った大学を辞めて別の大学に移り、編入学は規定により1年出場停止となる間に、プロになるためのトレーニングを自分に課したという、その意志力に感服した。彼、かっこいいです。

しかしこんなに若手ばかりじゃ負けるの当然だ。

ずっと最下位独走しているわけだが、選手を知って応援に熱が入りだした。千葉出身のエース上沢投手のがんばり、そして「サスコン」、ヒットが欲しいときいつも決めるので「さすがは近藤」と言われる近藤選手に「サスコンフィールド」と名付けたのは私。来年開場する新球場「エスコンフィールド」にかけた。そして骨折して離脱していたマツゴーこと松本剛選手が復帰して、投げれば打たれ、打っては倒れるチームの中で、一人気を吐くヒットを打つ姿には感動した。

「BigBossサイテー!なんとかしろよこの連敗街道!」

負けると気落ちする、すっかり日本ハムファイターズファンであり。しかし待て、マツゴーの姿を見れば勝つことだけが勝利ではないのだ。負けることも、死球でも怪我でも頑張るけなげな姿を楽しむことが、真の観戦なのである。ファンになり、しかもこんな観戦心理の境地に達したのは、自分で驚くべき変化であった。

かつて父が茶の間で野球観戦をしていたのに釣られて、ずいぶん長くたくさん野球を観てきた。だからどの投手が良く、どの打者が打てるかわかる。だがどこかのチームのファンになったことはなかった。サッカーでも日本代表を応援しても肩入れまでしないし、好きなJリーグチームもない。私はどこか「評論家ぽい」観戦者だった。

それが今、ひとつのチームに肩入れしている。そうできる自分が驚きであった。

なぜできるようになったのか?それはありのままの自分を見出し、受け入れ、体現するようになったからだと思う。それまでの自分は自分という殻の中にいた。殻から出てきて素直になれて、人を認めることができるようになった。いわば「ヒトリ」だったのが「リ」が抜けて「ヒト」になれた。トランスジェンダーとなったことは私のジャイアントステップなのである。

しかし次は絶対に勝ってほしい。死んでも絶対に勝て。

スカート。

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